必要保障額の考え方
生命保険は必要十分だけ加入することが重要です。
死亡保険の種類
死亡保険には、保障期間や保険金額の推移の違いによって、いくつかの種類があります。代表的なものを確認していきましょう。
定期保険
定期保険は、保険期間が一定期間(例:30年)または一定年齢(例:60歳まで)に限定されている死亡保険です。
その期間中に被保険者が死亡した場合にのみ保険金が支払われ、満期まで生存した場合の満期保険金はありません。このため、一般に「掛け捨て型の保険」と呼ばれます。
通常、「定期保険」と言う場合には、保険金額が保険期間を通じて一定のものを指します。 例えば、保険金額1,000万円の定期保険に加入している場合、契約から1年後に死亡しても、25年後に死亡しても、支払われる保険金は同じく1,000万円です。
収入保障保険
収入保障保険も、分類上は定期保険の一種です。ただし、一般的には、被保険者が死亡した場合に、死亡時点から保険期間満了までの間、一定額(例:月10万円)を年金形式で受け取る保険を指します。
年金形式ではなく、一時金として受け取る選択ができる商品もあります。
契約開始時点の保障額が最も大きく、時間の経過とともに保障額が減少していくことから、逓減型定期保険とも呼ばれます。必要保障額が年々減少していく家庭において、合理的な保障設計がしやすい点が特徴です。
終身保険
終身保険は、保険期間に満期がなく、保障が一生涯続く死亡保険です。人は必ず死亡するため、契約を途中で解約しない限り、いずれ死亡保険金を受け取ることができます。
長期間継続した場合には、支払った保険料に応じて解約返戻金が積み上がり、保険料払込期間終了後には、解約返戻金が払込保険料総額を上回るケースもあります。そのため、死亡保障に加えて、貯蓄的な機能を併せ持つ商品と位置づけられます。
学資保険
学資保険は、被保険者である子どもが一定の年齢に達したときに保険金が支払われる保険です。
契約者である親が死亡した場合には、その後の保険料の支払いが免除される仕組みとなっており、教育資金を確実に準備することができます。
必要保障額の計算方法
死亡保険を選択する際には、必要な保障額が過不足なく確保されているかを意識することが重要です。
必要保障額とは、万が一の場合に、ご遺族が生活していくために必要となる資金を合計したものを指します。
一般的には、次の式で計算した金額が目安とされます。
必要保障額の目安= 遺族生活費 + 別途必要資金 − 収入見込
遺族生活費
遺族生活費は、子どもが独立するまでの期間と、独立後とで大きく異なります。
- 子どもが独立するまで:現在の生活費の 約70%
- 子ども独立後:現在の生活費の 約50%
これは、亡くなられた方の食費や個人的な支出が不要になる一方で、住居費や教育費などの固定的な支出は引き続き発生すると考えられているためです。
別途必要資金
別途必要資金には、以下のようなものが含まれます。
- 子どもの教育費
- 子どもの結婚資金
- 住宅の修繕・リフォーム費用
- 葬儀費用・墓地費用
これらは、死亡時期に関わらず発生する、あるいは一時的に大きな支出となる点が特徴です。
収入見込
収入見込として考慮できる主なものは以下のとおりです。
- 預貯金
- 遺族年金
- 預貯金団体信用生命保険による住宅ローン残高の免除
- 死亡退職金
- 配偶者が就労している場合の将来収入
これらを差し引いた残額が、死亡保険で準備すべき保障額となります。
必要保障額は年々減っていく
葬儀費用など、どの時点で死亡しても同額必要となる資金がある一方で、遺族生活費は、年齢が上がるにつれて必要期間が短くなります。そのため、多くの家庭では、必要保障額は年々減少していく傾向があります。
過不足のない効率的な保険加入を目指す
一般に、定期保険は貯蓄性がなく、支払った保険料が必ずしも戻ってくるわけではありません。また、保険料には、将来の保険金支払いに充てる部分だけでなく、事業運営に必要な経費やリスク管理コストも含まれています。
したがって、コストだけを考えれば、死亡保険に加入すべきとはいえません。
しかし、コスト効率だけを理由に必要な保障を持たないことが合理的とは限りません。 万が一の場合に、遺族が生活に困窮したり、子どもが進学を断念したりする事態は、遺族の人生に取り返すことができない影響を及ぼします。
そのため、必要保障額を冷静に分析した上で、過不足のない保障を、できるだけ効率的に準備することが重要です。
その際に有効なのが収入保障保険です。
一般に、死亡率は年齢とともに上昇します。若年期には死亡の可能性は低く、高齢になるほど死亡の確率は高くなります。 一方で、死亡時に必要となる保障額は、時間の経過とともに減少していくケースが大半です。子どもの成長に伴い教育費の負担は軽くなり、生活費を保障すべき期間も短くなっていくためです。
このように、
- 死亡率は年齢とともに上昇する
- 必要保障額は年齢とともに減少する
という、逆向きの関係が存在します。
定期保険では、保険期間を通じて保険金額が一定であるため、死亡率が高くなる高齢期においても、大きな保険金額を保障し続けていることになります。その結果、保険料の多くは、死亡率が高い時期の保障コストに引きずられる形で高くなります。
これに対して収入保障保険では、死亡率が低い若年期には大きな保障を確保し、死亡率が高くなる高齢期には保障額を小さくする設計となっています。
この仕組みにより、保険会社が将来支払うことになる期待保険金の総額が抑えられ、結果として、同程度の保障内容を持つ定期保険と比べて、保険料を低く設定することが可能になります。
- 定期保険+収入保障保険
- 終身保険+収入保障保険
といったように、複数の保険を組み合わせることで、無駄の少ない保障設計が可能になります。
専業主婦・専業主夫にも死亡保険が必要なケース
死亡保険を検討する際に見落とされがちなのが、専業主婦・専業主夫の保障です。
専業である場合、死亡による直接的な収入減少はありませんが、
- 遺族年金を受給できない場合がある
- 家事や育児を外部サービスに依頼することで支出が増加する
- 遺族が就労時間を減らしたり、職種を変更したりすることで収入が減少する
といった影響が生じる可能性があります。
そのため、専業主婦・専業主夫であっても、死亡保障が本当に不要かどうかは個別に検討する必要があります。
まとめ
- 死亡保険商品ごとに異なる保険金額の推移を理解する
- 必要保障額を見積もり、過不足のない保険加入を行う
- 専業主婦・専業主夫の保障についても検討する
必要な保障を効率的に準備することで、万が一の場合に備えつつ、充実した人生を送ることができます。