定期保険のコスト効率を考える
死亡保障に対して生命保険のコストは見合っているのか、アクチュアリーの視点から解説します。
コスト効率を計算する重要性
死亡保障が全く不要という方は少ないのではないかと思います。一方で、保険料には保険会社の運営費用や利益も含まれており、保険に加入すればするほどコストがかかることも認識しておく必要があるでしょう。
どのくらいのコストなら許容できるかは人によって異なります。リスク回避的な人は大きなコストをかけてでもリスク移転するでしょうし、リスク中立的な人はわずかなコストも許容できないと思われます。
いずれにしても死亡保険を活用してリスク移転する場合に、どのくらいのコストがかかるかを定量的に把握することが重要です。そうすることで、自分のリスク許容度に合った保障を準備することができます。
この記事では、付加保険料や、保険会社の利益源である安全割増を除いた純保険料を計算し、それを実際に販売されている保険商品の営業保険料と比較します。それにより、みなさまが支払う保険料のうちどのくらいの割合が保険会社の運営費用や利益となり、どのくらいの割合が死亡保険金の支払いの使われるかの目安を把握することができます。
定期保険の純保険料を計算する
今回は30歳男性、保険期間30年を例に定期保険のコスト効率を検証します。当サイトで用意している純保険料計算ツールを使えば、任意の年齢・性別・保険期間で検証できますので、ぜひご活用ください。
計算前提
- 加入年齢: 30歳
- 性別: 男性
- 保険金額:1,000万円
- 保険期間:30年
- 予定死亡率:生保標準生命表2018から安全割増を除いた当サイトオリジナルの死亡率表
- 予定利率:2%
- 予定解約率:0%
なお、保険料収入は「年度の始め」に、保険金支払は「年度の真ん中」に発生すると仮定します。また、死亡と解約は「年度の真ん中」で同時に発生すると仮定します。
生保標準生命表とは?
保険会社は、将来の保険金支払を確実に履行するために法令に基づいて積立金の積み立てを行っています。この計算に用いる死亡率が生保標準生命表です。契約者保護の目的から、保守的な死亡率設定となっており、最大で30%の安全割増が含まれています。
検証結果
| 会社名 | 年間保険料 |
|---|---|
| 本サイト試算 | \( 15,989\text{円} \) |
| 3社平均 | \( 25,004\text{円} \) |
| ライフネット生命 | \( 24,372\text{円} \) |
| SBI生命 | \( 21,360\text{円} \) |
| はなさく生命 | \( 29,280\text{円} \) |
各保険会社の保険料は、月払営業保険料を12倍した金額です。
本サイトで試算した純保険料は15,989円であり、3社平均の営業保険料(25,004円)の63.9%となりました。つまり、死亡率や運用利回りなどが保険会社の想定通りとなった場合には、支払った保険料のうち約36%が保険会社の経費や利益になると考えることができます。
ただし、保険会社の商品はすべて無解約返戻金型であることに注意しなければいけません。保険会社は一定の割合で解約が生じると見込むことで保険料を安くする工夫を行なっています。
| 予定解約率 | 年間保険料 |
|---|---|
| 0% | \( 15,989\text{円} \) |
| 1% | \( 14,959\text{円} \) |
| 2% | \( 13,989\text{円} \) |
| 3% | \( 13,064\text{円} \) |
仮に保険会社が2%の解約率を見込み、その想定通りの解約率となった場合には、保険会社の経費と利益の割合は約44%まで増えます。生命保険に関して説明する一般書籍などで保険料の半分は手数料と記述されることがありますが、その認識は間違いではありません。
ただし、解約をしない前提であれば、保険契約者がリスク移転に支払うコストはもう少し低いことも認識してください。このコストを理解した上で、保険に加入するかを判断することが重要です。
まとめ
- 保険料のうち約50%は純保険料以外の部分(経費・安全割増・利益など)と考えることができる
- ただし、契約者が解約をしない前提であれば、その割合は35%程度まで小さくなる
リスク移転にかかるコストを理解した上で、保険加入することが重要です。リスク移転にかかるコストを計算できれば、今まで以上に根拠をもって保険加入することができるでしょう。
参考文献
- ライフネット生命 かぞくの保険(参照日:2026年3月24日)
- SBI生命 定期保険 クイック定期!Neo(参照日:2026年3月24日)
- はなさく生命 はなさく定期(参照日:2026年3月24日)
